銀製品のお手入れ並びに保管方法

銀の日常のお手入れ方法は、使用後に柔らかい布でカラ拭きし、汚れなどをとる程度で十分ですが、日が経つにつれて空気中の硫黄分と反応して黒ずんできたり細かい傷が付いたりするので、そうなるとしっかりとしたお手入れが必要です。

これは銀の純度、品質にかかわらず起こる化学反応で銀の持つ特性ですので、黒くなったからといって心配する必要はありません。お手入れをしてやれば当初の輝きを取り戻します。

※黒ずんだ状態は「いぶし銀」と呼ばれ、この深みのある光沢を愛好する方も多です。「いぶし銀」を楽しまれる場合は磨きすぎるとピカピカになってしまいますのでご注意ください。

お手入れ方法は多種ありますので、状態に応じたお手入れ方法をお試しください。

黒ずんでしまった場合(軽度~中度)

重曹を使ったお手入れ方法

軽く変色した場合は、ぬるま湯に浸した柔らかい布に重曹をつけて、軽く磨き、水拭きで拭き取った後、乾いた柔らかい布で拭いてください。


黒ずんでしまった場合(中度~重度)

シルバー磨きクロスを使ったお手入れ方法

シルバー磨きクロスは、柔らかいフェルト生地に微粒子の研磨剤が含まれた銀製品専用の磨き布です。銀の表面をこの布で磨くだけで簡単に黒ずみを取ることができ、元のピカピカの状態に戻します。商品によっては、変色防止剤や艶出剤を含ませた物もあります。研磨力は弱いので傷などをとることはできません。

超微粒子とはいえ研磨剤なので、厳密にいえば磨くというより表面を極薄く削り取っている状態になりますので、つや消し加工やいぶし加工、メッキ加工、彫り紋様等が施された物の場合は、強く磨きすぎると加工が剥がれてしまったり薄くなったりしてしまいますので十分ご注意ください。

また、銀専用以外のもので磨くと微細な傷が付き、綺麗に艶が出ない場合もあるので必ず銀専用の商品をお使いください。


シルバーポリッシュを使ったお手入れ方法

変色した硫化被膜を除去するだけでなく、光沢を出す事も出来るので、銀の美しい輝きを取り戻す事が出来ます。硫化防止剤が配合されているものを使用すれば、長期間黒ずみを防止する効果もあります。使用方法は簡単で、ポリッシュを柔らかい布につけて馴染ませたら液を伸ばすようにしながら丁寧に磨き、十分に磨いた後、ポリッシュのついてない部分の布で拭き上げてください。布では磨きにくい細かい部分等には綿棒が便利です。

※埃や汚れのついた布を使用すると傷の原因になってしまう事があるので必ずきれいな布をご使用ください。また、目の粗い布やティッシュ等のご使用も傷の原因となりますのでご注意ください。

※ポリッシュは少量ずつお使いください。最初からつけすぎないのが綺麗に磨くコツです。

※シルバー磨きクロス同様、研磨剤が入っていますので、つや消し加工やいぶし加工、メッキ加工、彫り紋様等が施された物に使用の際は、強く磨きすぎると加工が剥がれてしまったり薄くなったりしてしまいますので十分ご注意ください。

※緊急の場合は、歯磨き粉でも代用が可能ですが、粒等が入ったものは傷がつく可能性がありますので使用を避けてください。極力銀専用の研磨剤を使用することをお勧めします。


液体シルバークリーナーを使ったお手入れ方法

液体シルバークリーナーは、液に浸けるだけで変色や汚れを簡単に落としてくれる専用液です。使い方は簡単で、黒く変色した銀製品を数秒程度、液に浸けるだけで銀本来の美しい輝きを取り戻す事ができます。容器に入らない大きな製品の場合は布等に液を含ませて使用する事もできます。シルバー磨きクロスなどで磨くとさらに効果的です。

※浸ける時間が長すぎると、銀が真っ白になりすぎて艶が失われてしまう事がありますので、説明書をよく確認してご使用ください。

※つや消し加工やいぶし加工、メッキ加工等が施された商品にはお勧め出来ません。


特殊な変色の場合

銀の変色のほとんどは空気中の硫黄分との化学反応(硫化)が原因なので、上記の方法などでお手入れしてやれば解消できますが、塩素が原因の変色は簡単には取る事が出来ません。通常の使用ではまず起こらない変色ではありますが、家庭用の漂白剤等には大抵塩素が使用されていますので、それらが付いてしまったりすると変色を起こしてしまいます。

もし塩素が原因の変色が起こってしまった場合は、無理に取ろうとせず、専門業者等に修理を依頼する事をお勧めします。

細かい傷が付いてしまった場合

研磨剤(コンパウンド)を使ったお手入れ方法

銀は柔らかい金属の為、物にぶつけたり、擦れたりすると表面に傷が付いてしまう場合があります。中には肉眼では見えない位、小さな傷の場合もあり、銀磨きやシルバークリーナー等で磨いても輝きが戻らない事があるのは、この小さな傷が原因の場合が多いです。

銀磨き等で取れないような小さな傷をとるには研磨剤を使用します。使用方法は柔らかい布やセーム革に少量とり出し磨きます。ただし、間違ったお手入れ方法を行ってしまうと逆に傷が付いたり光沢が鈍くなり、くすんでしまう場合がありますので、心配な場合は専門業者等に任せる事をお勧めします。


銀製品の保管方法

銀食器が黒ずむ原因は、空気中の硫黄分で化学反応を起こしてしまうからです。なので、黒ずみが発生しないようにするには、空気と触れないようにすることが最大のポイントです。

しばらく使用しないといったような際には極力空気に触れないよう保管してください。1番手軽なのが布等で包んで、フリーザーバッグなど密閉性の高い袋に入れて保管する方法です。その際になるべく袋の中の空気を抜くようにするのがコツです。

ただし、真空になっているわけではないので若干の硫化は起こるかと思います。気になる場合は、シルバー変色防止布やシートといったものがありますので、一緒に、同封しておくと、さらに高い効果が期待出来ます。また、シルバー変色防止剤を使用するのも有効です。

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