銀の歴史

銀の歴史には諸説ありますが、紀元前4000年頃には銀が造られていたと言われており、現在知られている最古の銀製と思われる宝飾品が、紀元前3000年頃の古代遺跡遺跡から発見されています。当時は銀の精錬技術が未発達であった為、銀は金より高価なものとして取り扱われていました。これは金が自然界に多く存在したのに対し、銀は自然銀として見つかることが非常に珍しかった為です。古代エジプトにおいては金に銀メッキをした宝飾品も存在したようです。

紀元前2500年頃には鉱石から銀を取り出す灰吹法と呼ばれる製錬技術が開発されており、それに伴い、金と銀の価値が逆転しました。紀元前1000年頃になるとアメリカで高度な銀加工技術を使用して銀製品が作られていたと言われています。

紀元前900年頃、ギリシャ、アテネ近くのラウリオン鉱山は銀を生産する有数の鉱山で、約1000年間生産が続いた最初の銀山でした。以後、ギリシャでも貨幣を鋳造するようになり、銀は貨幣を作る為にも欠かせない物となります。後にローマでも貨幣制度が設立され銀貨が鋳造され始めます。

紀元前200年頃から、ローマの貴族達の間で銀製の食器等が愛用されるようになり、銀器が生活品として取り入られ始めました。また、この頃にアジアでは中国から朝鮮への移民が銀製造技術を伝え、その後、日本にも伝わったとされていますが、あまり普及はしなかったようです。

※日本最古の銀製品は、紀元前300年(続縄文時代)の北海道、植別遺跡の墓から鉄製の小刀と一緒に発見された銀の小片(おそらく小刀の装飾品だったと思われる)とされています。

紀元1世紀頃のインダス文明では、初めて銀を飲み物を注ぐ為の容器として使われました。3世紀頃にはロンドンでローマ帝国の銀貨幣が鋳造され、7世紀頃のイギリスでは、後の鋳造貨幣の基礎となった銀ペニーが使用されるようになりました。

7世紀末頃には日本で初めての銀山が、対馬国(現在の長崎県対馬市)で発見され、朝廷に銀を献上した記述が「日本書紀」に残っています。

12世紀頃、イギリスでは東ドイツの貨幣鋳造家イースターリングにより鋳造方法が伝えられ、その時の銀含有率が92.5%だった事から、それ以来この品位をスターリングと呼ぶようになりました。1300年代にはイギリスの法定品位になり、1920年までイギリスの銀貨はこの品位で製造されていました。その後は品位を落とし、1947年以降はプルーフ貨幣(流通を目的としたものではなく収集家用に特殊な処理を施したコイン)以外に銀貨は鋳造されなくなりましたが、イギリスの通貨ポンドの正式名称は現在もスターリングポンドです。

15世紀末頃には、ボリビアのポトシで2アマルガム法(水銀を利用して鉱石から金や銀を取り出す製錬法)が開発され生産効率が向上して生産量も増加しました。

日本においては、16世紀に灰吹き法という製錬技術が朝鮮から伝えられた事により銀の生産量が激増し、17世紀初頭の最盛期には日本産の銀は、世界の生産量の約3分の1を占めていたと言われています。しかしその後、資源の枯渇から日本の銀の生産力は著しく衰え、世界の銀産出地から名を消す事となります。

16世紀後半から17世紀にかけて、ボリビア、ペルーおよびメキシコ等の中南米で銀の産出量が増え、17世紀末頃には12世紀末頃に比べ10倍にも達するようになり、世界の銀の85%を産出するようになりました。この銀の生産量の増加は銀相場の低下を招き、その事から当時、多くの国が採用していた通貨制度である銀本位制が揺らぐことになりました。

17世紀頃、ニューヨークのネイティブアメリカンが銀貨を加工して宝飾品を作り始めました。それは現在の銀細工技術の始まりでした。

18世紀中頃、世界中の上流階級が銀器を好んで用いるようになり、その為、銀の加工技術が飛躍的に進歩しました。

19世紀頃には、現在も使われている銀の精錬法、青化法(シアン化法)が確立され生産効率が増大しました。また、それにともない銀相場が低下し、結果、銀製品がより手頃で身近なものになりました。また、アメリカではティファニーが創業され、アメリカ企業としては初めてスターリングシルバー基準を適用し、世界的な銀製品のブランドとして一躍有名になります。

20世紀~現代、20世紀初頭アメリカにおいてはネバダ、コロラド、ユタで相次いで優秀な鉱山が発見され、銀の生産量は更に増加しました。また、鉱山から新たに採集される銀以外に、再生銀のシステムが確立し、益々銀の相場が安くなっていきます。

1988年、アメリカではクロムハーツが設立され、1992年には名誉あるCFDA(Council of Fashion Designers of America‐アメリカファッションデザイナー協会)アクセサリー部門最優秀賞受賞を受賞し一躍有名になります。これをきっかけに、シルバージュエリーが見直され人気となり現在に至ります。

ちなみに現在の銀の生産量は、メキシコ(約5,500トン)、ペルー(約4,500トン)、中国(約3,500トン)、次いでロシア、チリ、オーストラリア、ボリビア、ポーランド、米国などが(約1,500トン前後)これに続きます。(※2016年現在)

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