鉄瓶の製作には数多くの道具が使用されます。極一部ではありますが、いくつかご紹介させて頂きます。
溶解炉
鋳造、仕上、着色、彫金など、様々な工程を経て製造される鉄瓶において、1番最初の形を作り出す工程である鋳造で重要な役割を果たすのが溶解炉です。溶解炉で固形の原材料(インゴット等)を融点以上に温度を上げて溶かすことによって初めて型に金属を流し込み、形を作ることが出来るようになります。
鉄漿(おはぐろ)・稈心箒(みごほうき)
着色時に使用する道具で、鉄漿は酢酸液に鉄片を漬け、茶汁を混ぜ合わせた物で、色の調整や錆び止めの効果があります。稈心箒は鉄漿を掃く際に使用され、藁の芯を束ねた物で出来ており、毛先は繊細な作業が出来るよう工夫されています。
漆風呂(うるしぶろ)
着色に欠かせない漆を乾燥させる際に使用します。理想的な温度と湿度を保ち、漆を早く乾燥し、また、漆の乗りも安定し綺麗な仕上がりになります。
鏨(タガネ)
鉄瓶を装飾する彫金の際に使用します。タガネは市販されているカブと呼ばれる元となる棒状の素材を自分の使いやすいように加工して作ります。一言にタガネといっても、毛の様に細い線を彫る為の毛彫りタガネ、和筆風な線を彫る片切タガネ等々、刃先の種類や大きさで数十、数百種類にもなり、それらを状況によって使い分けながら華美な装飾を施します。