鉄瓶の製造工程

鉄瓶が完成するまでには、細かく数えると50以上もの工程がありますが大まかな工程は次のような流れになります。
※鋳造法の違いにより工程は異なります。

1.原型の製作

考えた図案をもとに木や石膏で原型を制作します。

2.型の作成

原型を元に鉄を流し込む型を制作します。

3.鋳造(ちゅうぞう)

鋳造とは溶解炉で溶かした鉄を鋳型(いがた)と呼ばれる型に流し込んで形を作る金工技法の一つです。鋳金(ちゅうきん)ともいい、出来上がったものは鋳物(いもの)と呼ばれます。地金の成分、その日の気温や湿度、また、流し込む速度などによって仕上がりが左右されるので、熟練された職人の技が必要となります。鋳造の種類は主に、蝋型(ろうがた)双型(そうがた)焼型(やきがた)生型(なまがた)に分けられます。

※溶解炉については「鉄瓶製作の道具」を参照

4.仕上げ

型から取りだした鉄瓶を綺麗に整え、錆止め処理を行います。

5.バリ取り

型から取り出したばかりの鉄瓶にはバリ(余分な出っぱり等)がついているので磨き落として表面を綺麗に整えます。

6.金気止め(かなけどめ)

高温で鉄瓶を焼く事により酸化皮膜をはり鉄瓶を錆びにくくする技法です。

7.着色

古来よりの伝統技法を用いて、一つ一つ手間暇かけて色をつけています。表面に色を塗っているわけではありません。金属が持つ本来の色をいかす為、熱した鋳肌の表面に、漆やおはぐろ(鉄片を漬けた酢酸液に茶汁を混ぜ合わせた液体)と呼ばれる液を稈心箒(みごほうき)で掃きあげて焼き付けます。そうすることによって独特の奥深い色が表現できるのです。おはぐろの調合や掃き上げ加減が難しく高度な熟練の技が必要となります。
※稈心箒については「鉄瓶製作の道具」を参照

8.彫金(ちょうきん)

仕上がった鉄瓶に装飾を加えます。彫金には彫り、象眼等の技法があり、いずれも熟練された技術が必要となります。

・彫り
鋳肌に鏨(たがね)で模様や図案、文字等を彫り込む技法です。

・象眼(ぞうがん)
象眼という言葉には、象(かたどる)眼(はめる)という意味があり、金属の表面を彫り、そこに他の金属をはめ込んで模様等を形作る技法です。線状に細工する事が多いですが、地金に布目状の筋を彫り、その上に薄板状の金や銀をかませ打ち込んで平面にする、布目象眼(ぬのめぞうがん)といった象眼技法もあります。
※鏨については「鉄瓶製作の道具」を参照

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