仏像とは
仏像とは仏の姿をうつした彫刻の事をいい、木、石、金属、など様々な素材で作られています。仏像が作られたのは、紀元1世紀にインドで作られたのが始まりといわれ、釈迦の入滅から500年も経ってからの事でした。これは釈迦があまりにも偉大だった為、畏れ多くて像に出来なかったからと考えられています。仏像が作られるまでは、釈迦の足を象った「仏足石(ぶっそくせき)」や、釈迦の誕生にまつわり、仏教を象徴する「蓮の花」などが崇拝の対象とされていました。
十二支守り本尊
人はそれぞれの生まれた年の干支によって、守護してくれる仏様が決まっています。その事を十二支守り本尊、または干支守り本尊、厄除け守り本尊といい、古来より、海運や厄除けの守護仏として信仰されてきました。
子年(千手観音菩薩)、丑年・寅年(虚空蔵菩薩)、卯年(文殊菩薩)、辰年・巳年(普賢菩薩)、午年(勢至菩薩)、未年・申年(大日如来)、酉年(不動明王)、戌年・亥年(阿弥陀如来)
十三仏
亡くなった人を浄土に導く13人の仏様です。初七日から33回忌まで、それぞれに担当が決まっています。
初七日(不動明王)、二七日(釈迦如来)、三七日(文殊菩薩)、四七日(普賢菩薩)、五七日(地蔵菩薩)、六七日(弥勒菩薩)、七七日(薬師如来)、百ケ日(観世音菩薩)、一周忌(勢至菩薩)、三回忌(阿弥陀如来)、七回忌(阿閦如来)、十三回忌(大日如来)、三十三回忌(虚空蔵菩薩)
仏の種類
一口に仏といっても序列や、それぞれに決まった役割があり、大きく4つの種類に分かれています。最も位が高いのが「如来」で、真理を得て悟りを開いた存在であり、人々を苦痛や業から救う役割も担っています。悟りを開いた後の姿の為、飾りのない簡素な姿をしているのが特徴です。
次に位が高いのが如来になるべく修行中の「菩薩」で、悟りを求めつつも人々を救う役割を果たしています。その姿は出家前の釈尊がモデルとなっている事から、様々な装飾具を身につけた華やかな姿をしています。
如来と菩薩に次ぐ仏が「明王」で、仏の教えに従わない者たちを仏教に帰依させて救済する役目を負っています。炎を背負い、髪の毛は逆立ち、憤怒の形相で武器を持った恐ろしい姿をしていますが、人の迷いや煩悩を断ち切り導いてくれる慈悲深い仏です。
最後の「天」や「天部」と呼ばれる仏は、如来、菩薩、明王とは立場が異なり、仏教に帰依した神々のことで、仏教を守護する役割を持つ仏です。東西南北の四方を守護する「四天王」、十二の時、十二の月を守る「十二神将」、自然現象を神格化した「風神」「雷神」、その他「七福神」なども「天」に属する仏です。元々はインドの神々がベースとなっている為、非常に種類が多く、個性豊かな仏が多いのも「天」の特徴です。
※上記では仏にも序列があるように記載させて頂きましたが、不動明王が大日如来の化身、閻魔大王が地蔵菩薩の化身といったように、仏教には「化身」という考え方があるので一概には言えません。また、序列と言っても単なる格付けではなく、それぞれの仏がそれぞれの役割を担い人々を救ってくださっているという意味合いにおいては、上下関係ではなく役割に属した組分という考え方が出来るかと思います。
主な如来
•釈迦如来(しゃかにょらい)
仏法の開祖。釈迦(ゴータマ・シッダールタ)の仏としての敬称。
•阿弥陀如来(あみだにょらい)
四十八の大願を立て修行の末に如来となった西方極楽浄土の主。
•大日如来(だいにちにょらい)
太陽の力との仏で密教世界の最高位。密厳浄土の主。
•薬師如来(やくしにょらい)
医療の仏。東方瑠璃光浄土の主。
•阿閦如来(あしゅくにょらい)
全てを正確に照らす大円鏡智を具現化した仏。東方妙喜国浄土の主。
•宝生如来(ほうしょうにょらい)
全てのものは平等であるという平等性智を具現化した仏。南方歓喜浄土の主。
•不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)
成すべくことを成し遂げるという成所作智を具現化した仏。北方業積浄土の主。
お勧めの仏像(如来)
主な菩薩
•弥勒菩薩(みろくぼさつ)
釈迦滅後56億7000年後に現れ人々を救済する菩薩。釈迦の後継者的な存在の仏。
•地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
釈迦滅後から弥勒菩薩が悟りを開いて人々を救済しにやってくる56億7千万年後までの間、人間の世界を守り続ける役目を持つ仏。
•観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)
人々の苦しみの声を聞いて、千手観音や十一面観音などの様々な姿になり、救いの手を差し伸べて下さる仏。
•普賢菩薩(ふげんぼさつ)
慈悲と理智を司る仏。釈迦如来の脇侍として文殊菩薩と共に三尊で並ぶことが多い。
•文殊(文珠)菩薩(もんじゅぼさつ)
「三人寄れば文殊の智恵」といわれるように知恵を司る仏。
•勢至菩薩(せいしぼさつ)
知恵の光ですべてを照らし、人々を苦しみから救う仏。阿弥陀如来の脇侍としてを観音菩薩と左右に並ぶ阿弥陀三尊が有名。
•虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
無限の智恵と慈悲を持ち、智恵や記憶力、知識を与えてくれる仏。
お勧めの仏像(菩薩)
主な明王
•不動明王(ふどうみょうおう)
五大明王の中心的な存在で、明王の中で最も威力があり功徳も大きく、救いがたい者たちをも力ずくで仏教に帰依させて救済する慈悲深い明王。大日如来の化身ともいわれています。
•降三世明王(ごうざんぜみょうおう)
五大明王の1尊。貪欲・怒り・愚痴の煩悩を退治する明王。阿閦如来の化身ともいわれています。
•軍茶利明王(ぐんだりみょうおう)
五大明王の1尊。外敵から人々を守り、様々な障害を取り除いてくれる明王。宝生如来の化身ともいわれています。
•大威徳明王(だいいとくみょうおう)
五大明王の1尊。一切の悪を降伏させる力を有する明王。阿弥陀如来の化身ともいわれています。
•金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)
五大明王の1尊で、煩悩や災いを粉砕し浄化してくれる明王。不空成就如来の化身ともいわれています。
•烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」
不浄なものを一切焼き払い清める、トイレの神様としても知られる明王。金剛夜叉明王にかわり五大明王の1尊に数えられる事もあります。
•孔雀明王(くじゃくみょうおう)
災いや病を避け、幸福を招く明王。元々はインドの女神がモデルとなっている事から、仏母大孔雀明王菩薩とも呼ばれ、明王としては珍しく穏やかな表情をしています。
•愛染明王(あいぜんみょうおう)
煩悩の1つである愛欲を悟りの境地にまで導いてくれる明王。欲望や煩悩を振り払って悟りに至る仏教において、唯一、愛染明王だけが愛欲を悟りへと導いてくれます。
お勧めの仏像(明王)
主な天(天部)
•梵天(ぼんてん)
仏法の守護神。帝釈天と並び、天部の中では最高位の存在で、帝釈天とあわせて祀られる事も多く、梵釈と呼ばれる事もあります。
•帝釈天(たいしゃくてん)
四方を守護する四天王(多聞天、持国天、増長天、広目天)を従える、梵天と並ぶ仏教の二大護法神。
•毘沙門天(びしゃもんてん)
四天王の筆頭である多聞天の単独での呼称です。守護神であると共に、七福神の一尊にも数えられる福の神でもあります。
•阿修羅(あしゅら)
天界から追われ修羅道の主となった鬼神。後に仏教へ帰依し仏法の守護神となる。釈迦如来の守護神である八部衆や、千手観音の眷属である二十八部衆に数えられる戦いを象徴する守護神。
•焔摩天(えんまてん)
運命、死を司る地獄の主で閻魔大王として有名。冥界の王として死者の生前の罪を裁く仏。地蔵菩薩の化身ともいわれています。
•吉祥天(きっしょうてん)
美・幸福・富を授ける美しい女神。数多の功徳を積んでいる為、功徳天、宝蔵天女とも呼ばれます。毘沙門天の妻で、妹の黒闇天(災いと不幸を呼ぶ神)とは表裏一体の関係です。
•金剛力士(こんごうりきし)
仏敵が入り込むことを防ぐ、阿形と吽形の二体一対の守護神。仁王として有名。一体のみで執金剛神(しゅこんごうしん)と呼ばれる場合があります。
•十二神将(じゅうにしんしょう)
薬師如来に仕える十二の武神で、十二の時、十二の月、十二の方角を守護しています。また、十二神将にはそれぞれ、如来・菩薩・明王といった化身前の本来の姿があります。各神将がそれぞれ7千、総勢8万4千の夜叉を率いており、この数は人間の持つ煩悩の数に値します。
宮毘羅大将、伐折羅大将、迷企羅大将、安底羅大将、摩虎羅大将、珊底羅大将、因達羅大将、波夷羅大将、摩虎羅大将、真達羅大将、招杜羅大将、毘羯羅大将
•七福神(しちふくじん)
福をもたらす七柱の神。
恵比寿(豊漁、商売繁盛の神)、大黒天(財富、五穀豊穣の神)、福禄寿(幸福、健康、長寿の神)、毘沙門天(勝運、商売繫盛の神)、布袋(子宝、良縁、商売繫盛の神)、寿老人(長寿、幸福の神)、弁財天(技芸、縁結、財福の神)
•風神・雷神(ふうじん・らいじん)
元々は悪神でしたが、千手観音に仕える二十八部衆と戦い降伏してからは、仏教に帰依し二十八部衆の配下として、風と雷を司る神となったといわれています。